アリ・マルコポロスが監督した無声映画『THE PARK(ザ・パーク)』は、固定カメラがとらえた2カットのみで構成。その映画を2018年12月、東京・sonoriumで上映した。
当日は上映と同時に、観客の前でジェイソン・モランがスタインウェイのグランドピアノを即興演奏。そのサウンドをライブ録音して、後にスタジオで無声映画『ザ・パーク』にミックスすると、サウンドがついた新たな『ザ・パーク』に生まれ変わった。
同作を2019年11月、京都の同志社大学 寒梅館 ハーディーホールで1度限りの特別上映!
【日時】2019年11月21日(木)19:00〜20:20頃 18:30開場
◎整列順のご入場となります。整理券の配布はございません。
【会場】同志社大学 寒梅館 ハーディーホール(850席)
【住所】602-0023 京都府京都市上京区烏丸通上立売下ル御所八幡町103
【アクセス】市営地下鉄烏丸線「今出川」駅下車、2番出口より北へ徒歩約2分 ◎駐車場・駐輪場はありません。公共交通機関をご利用ください。
【料金】前売券:3,500円 当日券:4,000円 全席自由
◎前売券はLivepocket(ライブポケット)の電子チケットです。
◎ヴュッター公園サイトで前売券の予約ができます(支払は当日)。 ◎当日18:00より、予約チケットの引き換えを行います。
◎当日18:00より、当日券の販売を行います。
【前売券】2019年11月5日(火)10:00A.Mより、ライブポケットにて発売開始
【前売券サイト】 https://t.livepocket.jp/e/thepark
【お問い合せ】同志社大学 今出川校地 学生支援課:075-251-3217(ホール担当)
主催: 同志社大学今出川校地学生支援課
共催: VELVETSUN PRODUCTS、ヴュッター公園、トモ・スズキ・ジャパン
協力: Fergus McCaffrey in New York and Tokyo、石川直樹、Angie Naoko
Photo: Courtesy of Fergus McCaffrey, New York/Tokyo
アリ・マルコポロスは、ニューヨーク市ブルックリンが拠点のアーティスト。
小型カメラを用いて旅先で撮影した写真を白黒コピー機で出力して、ZINE(ジン)と呼ばれる自作の冊子を発行するなど、妻である現代美術家のカラ・ウォーカーと同様、メディア横断的な表現活動を続ける。
監督作『THE PARK(ザ・パーク)』(2017-18)も複数の媒体による重層的な手法で制作された。
もともと映画『ザ・パーク』(2017)は無声映画だった。
ロケ地は、ブルックリン地区にニューヨーク市の住宅公団が開発した公共住宅、ウォルト・ホイットマン団地。その付近の公園にビデオカメラを設置して、定点でバスケットボールのコートを撮影。
素材を58分の映画に仕上げた。全体で2カットだけ、最初のカットが51分も続く。音声はつけずに、2017年に発表している。
すると、同作を観た音楽家のジェイソン・モランが、自身のピアノ演奏でサウンドを加えたい、と提案。彼がジャズ部門のアドバイザーをつとめるワシントンD.Cのジョン・F・ケネディ・センターに映画『ザ・パーク』(2017)を招待して、セロニアス・モンク生誕100周年の記念式典にて15分のみ公開。その場でモランがピアノを即興演奏したのだ。
2018年、今度はアリ・マルコポロスがジェイソン・モランを招待。建築家、青木淳デザインの音楽ホール、sonorium(東京都杉並区)で『ザ・パーク』(2017)全編を上映。あわせて、2007年ハンブルグ製のスタインウェイ・フルコンサート・グランドピアノD274を、ジェイソン・モランが即興演奏。
来場者が目撃者となる公開イベントにして、演奏はライブ録音された。レコーディングされた音源は、その後『ザ・パーク』(2017)にミックスされ、サウンド付きバージョンの映画『ザ・パーク』(2017-18)が誕生する。
ジェイソン・モランの演奏が加わった新版『ザ・パーク』(2017-18)は、2019年になり東京とN.Yのファーガス・マカフリー・ギャラリーで展示。
そして、今回、同志社大学ハーディーホールで日本初のスクリーン公開となる!
ウェブ版「美術手帖」記事は、こちら
Fergus McCaffrey. (2019). Fergus McCaffrey | Ari Marcopoulos: "The Park"
アリ・マルコポロス 監督!固定カメラの映画『THE PARK』
ピアノ即興:ジェイソン・モラン
アムステルダム生まれ、ブルックリン在住のアリ・マルコポロス。
GUCCI、Supreme、adidas skateboardingなどのファッション・ブランドとのコラボレーションでも知られる…売れっ子の写真家だ。
そんな彼は、映画も手がけている。
自宅付近の公園にカメラを固定して、バスケットボール コートを定点撮影した映画『THE PARK』は、2017年に発表したサイレント作品である。
いつ始まりで、いつ終わりとも言えない公園でのバスケットボール。友人が挨拶に入ってきたり、通行人がコートを横切ったり、家族連れが散歩したりする日常のひとコマ。劇的なドラマがない画面なのに、通して見ると、どことなくリズムを感じる作風に仕上がっている。
そんな無声映画を気に入ったのが、音楽家のジェイソン・モランだった。自ら…ピアノで即興演奏をしたい!と申し出た。そして、ワシントンD.Cのジョン・F・ケネディセンターで実現。同作の一部を上映して、グランドピアノの演奏で音をつけるパフォーマンスを敢行したのだった。
2018年12月、今度は東京で開催。アリ・マルコポロスが、監督作『THE PARK』のフルバージョンを日本初公開へ。招待のみの特別なイベントに、ジェイソン・モランを招いた。
そこで、ジェイソン・モランがスタインウェイのフルコンで即興演奏!無声映画を上映して、それにピアノで伴奏をつけ、録音するという試みを成功させた。そのサウンドはレコーディングされ、改めて映画『THE PARK』にミックス。サイレント映画が、ピアノ・サウンド付きの映画に生まれ変わったのだ。
そんなジェイソン・モラン即興演奏版の映画『THE PARK』が、2019年1月より、ファーガス・マカフリー東京で”展示”される運びとなった。
開映と終映の時間が定められる映画館での公開と違い、白壁に映像がループ投影されるギャラリー展示という形式である。
2018年12月20日(木)『THE PARK(ザ・パーク)』ライブ録音
監督 :アリ・マルコポロス
ピアノ :ジェイソン・モラン
会場 :sonorium
映写 :HIGURE
録音技師 :奥田泰次(studio MSR)
制作 :ノイズ中村
制作・受付:石渡久美子、アンジー・ナオコ
制作総括 :鈴木朋幸(トモ・スズキ・ジャパン)
協賛 :GUCCI
協力 :小野寺唯、ファーガス・マカフリー東京
アリ・マルコポロスのInstagram(当日の動画:ジェイソン・モランの即興演奏)は、こちら
Fergus McCaffrey. (2019). Ari Marcopoulos: "The Park" (Full Film)
アリ・マルコポロス/Ari Marcopoulos(アーティスト・映画監督・写真家)
1957 年アムステルダム生まれ、N.Yブルックリン在住。
アンディ・ウォーホルやアーヴィング・ペンのアシスタントを経て本格的に写真をスタート。ストリートカルチャーをドキュメントする写真で注目され、ビースティ・ボーイズやソニック・ユースのキム・ゴードン、クロエ・セヴィニーといったアーティストのポートレイトを撮るようになる。
『PURPLE』や『the journal』といった雑誌への掲載はもちろん、コピー機で出力する自作のZINE(ジン)でも作品を発表。
ブランドとのコラボレーションも多く、NIKE やSupreme ではブランドヴィジュアルを担当。ブルックリンの公園を定点撮影した無声映画『THE PARK(ザ・パーク)』を東京で上映し、ピアニストのジェイソン・モランが即興演奏する公開録音では、GUCCIが協賛した。
公式サイト:http://arimarcopoulos.net/
アリ・マルコポロス『THE PARK(ザ・パーク)』
ウェブ版「美術手帖」の記事は、こちら
石川直樹 x スガダイロー 同志社大学 寒梅館 ハーディーホール
2019年12月、東京での公開録音には、ピアニストのスガダイローが出席していた。
それから約1年を経た今、ジェイソン・モランとの競演歴がある彼が、京都で生演奏へ。
東京でアリ・マルコポロスの映画を上映して、ジェイソン・モランが演奏したように、京都では石川直樹のビデオを無音でスクリーンに投影して、スガダイローが即興演奏を試みる。
石川直樹は、世界各地を巡り人と大自然との関わりを写し続けてきた写真家。
彼の公式サイトで公開中のビデオ『Ama Dablam』(2018)と『Road to K2 / Gasherbrum 2019』(2019)から感じ取れる身体性、及び、同作に垣間見る人間の営みこそが本企画の強度を増すものとして、本来は音声付きの作品ながらサウンドなしでの上映が承諾された。もちろん、このような形式での石川作品上映は世界初である。
上映企画としては、平安京の頃からカルチャーを牽引してきた京都の地への深いリスペクトを示すべく、和歌と返歌の関係を現代風に再構成してみた。
「アリ・マルコポロスx ジェイソン・モラン」に呼応する「石川直樹 x スガダイロー」が新たな表現に、乞うご期待!
石川直樹 ビデオ上映 x スガダイロー 即興演奏 2019年11月21日(木)19:00〜同志社大学 寒梅館 ハーディーホールにて
『Ama Dablam』(2018年/8分42秒)
撮影・出演:石川直樹
◎当日は無音で上映して、スガダイローがピアノ即興演奏
WEB版: https://vimeo.com/310702185
『Road to K2 / Gasherbrum 2019』(2019年/8分49秒)
撮影・出演:石川直樹
◎当日は無音で上映して、スガダイローがピアノ即興演奏
スガダイロー(ピアニスト・作曲家)
1974 年生まれ、神奈川県鎌倉育ち。洗足学園ジャズコースで山下洋輔に師事、同校卒業後米バークリー音楽大学に留学。
ジェイソン・モラン、山下洋輔、田中泯、灰野敬二、飴屋法水、京極夏彦、中村達也、U-zhaan、向井秀徳、近藤良平(コンドルズ)、酒井はな、contact Gonzo らジャンルを越えた異色の対決を重ね、夢枕獏との共作や星野源の作品にも参加するなど、日本のジャズに旋風を巻き起こし続ける。
公式サイト:https://www.sugadairo.com/
石川直樹(写真家)
1977年東京生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。
人類学、民俗学などの領域に関心を持ち、辺境から都市まであらゆる場所を旅しながら、作品を発表し続けている。
『NEW DIMENSION』(赤々舎)、『POLAR』(リトルモア)により、日本写真協会新人賞、講談社出版文化賞。『CORONA』(青土社)により土門拳賞を受賞。
著書に、開高健ノンフィクション賞を受賞した『最後の冒険家』(集英社)ほか多数。
最新刊に、エッセイ『極北へ』(毎日新聞出版)、ヒマラヤの8000m峰に焦点をあてた写真集シリーズの7冊目となる『Gasherbrum II』(SLANT)、水戸芸術館や初台オペラシティをはじめ全国6館を巡回した個展のカタログでもある大冊『この星の光の地図を写す』(リトルモア)など。都道府県別47冊の写真集を刊行する『日本列島』プロジェクト(SUPER LABO×BEAMS)も進行中。
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